2016年 5月

遺言書とは、自分の意思を明確化し、客観的に示した故人の最後の文書といっても過言ではありません。その内容は、遺族に対し、経済的影響が大きく及ぶこともあり、極めて重要となります。逆に、遺志を残す人には、少なくとも、自分の意思を明確に表現できる能力が求められることになります。場合によっては、遺言書の作成時期における判断能力などが問題とされ、有効か無効かを争われることもあり得ます。実際、作成能力として、精神障害などのないことは条件の1つとなっています。自分の意思を残す能力のない人の文書が、有効と認め難いのは、容易に想像できるでしょう。
それでは、精神障害のある人は、遺志を残すことは、一切、許されないのでしょうか。結論から言うと、残すことは可能です。例えば、認知症などにおいて、最も症状が重いとされる成年被後見人でも、遺志を文書として残すことはできるのです。ただ、条件を満たす必要はあります。例えば、この症状に該当する人も、一時的に判断能力が回復する場合があります。そのような状態のときであれば、医師2人以上の立会の下で、残すことが可能となります。ちなみに、立ち会った意思は、判断能力に問題のなかった状態にあったことなどを遺言書に付記し、署名押印することが求められます。これにより、有効性を保証しているワケです。花06

人は誰でも、多かれ、少なかれ、財産を築き上げていきます。人によっては、莫大な財産を作り上げる人もいます。しかしながら、どのような人でも、自分の死後、その財産を自身で管理することも、使うこともできません。そこで、財産の処遇について、自分の意思を示すことになります。その意思を記述した文書が遺言書です。近年、この遺言書を作成する人が増えているようです。
ところで、遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の三種類あります。このうち自筆証書遺言は、文字通り、自分で記述する遺言書です。費用がかからないといった利点がある反面、形式不備のリスクは高まります。形式不備の遺言書は無効となるので、作成には細心の注意が必要です。そこで、費用が気にならないのであれば、それ以外の種類を選択することになります。
ところで、公正証書遺言と秘密証書遺言には、証人が必要であることをご存知でしょうか。ただし、証人には、誰でもなれるわけではありません。例えば、未成年者や推定相続人などは、証人や立会人になることができないのです。ちなみに、被保佐人は証人になれるのかという疑問を目にすることがありますが、被保佐人は証人になることができます。
これらの遺言書の作成を検討している人は、認識しておく必要があるでしょう。バラ02

一緒に生活している夫と妻なら、財産を共有している場合も多いはずです。例えば家などの名義が夫になっていても、それを失ってしまったら残された妻の生活が成り立たなくなってしまうという事も起こります。そういったことを夫婦で考えつつ、何をお互いに残すのか、二人できちんと決めておくことが重要です。また、内容はもちろんですが、書いたものをどこにしまったかを二人で確認しておくことも大切になります。見つからないという事になるとせっかくの亡き人の意思も生かされなくなってしまう恐れがあるためです。
そこで、一つの書面にまとめてしまったほうが良いのではないか、と考える人もいるようです。しかし、遺言は基本的に一人一つ作るものであり、二人のものを一つの書面にまとめてしまうという形では無効になってしまうので気を付けましょう。一緒に考え、お互いに作るとしても、別々の紙に書いて保管しておく必要があるのです。どちらかが代筆するという形も無効になってしまうので気を付けましょう。自分の分は自分の手で書くことが必要です。パソコンなどで作成したものを印刷するという形では無効になってしまいます。こういったルールについても注意しながら作成していきましょう。花04

自分の死後、自分の財産をめぐって相続争いが発生するのではないか、仲の良い家族が険悪になってしまうのではないかと不安に思う人もいるのではないでしょうか。こうした不安を解消する対策として、遺言書を作成しておくという方法が有効です。親族のうち、誰にどれだけ相続させるのかなど、自身の意思を明確にしておけば、少なくとも、相続争いの回避にはつながるはずです。
ただ、自分の指定した相続人が、自分よりも先に死亡した場合、その遺言の内容はどうなるのだろうかと疑問を抱く人もいるのではないでしょうか。実際、全財産を妻に引き継がせるといった内容を遺言書に記載しておいたところ、妻が先立ってしまった事態もあり得ないことではありません。
このように、遺言者よりも先に相続人が死亡した場合、遺言書に記載していた内容は、失効することになります。上の例では、妻へ全財産を相続させるという内容が無効になるのです。そうなると、せっかくの自分の意思も遺言書も無意味になります。
こうした事態を避けるために、予備的遺言という方法があります。相続人が遺言者よりも先に死去した場合の相続人を指定しておくのです。例えば、妻が自分の死亡以前に死亡した場合、その財産を長男に相続させる、などと指定しておく方法が考えられるでしょう。花05

自分が亡くなった後に実現してもらいたいこと、残された家族に財産などをどう分けるかという事は、亡くなった後では伝えることができません。生きているうちに自分亡き後のことを書面に記しておくことが必要になります。その書面のことを遺言と呼ぶのです。公正証書などにする場合もありますが、自分で書くこともできます。
単に伝えたいメッセージがあるという場合ならば、通常の手紙と同様に書いておけばよいです。しかし、財産を分けるために必要な事項などを記載している場合は、一定のルールに従って書いておかないと無効になってしまいますから、ルールの確認は必須となります。基本的なことで言えば名前と印鑑、日付をきちんと書くという事が挙げられます。特に日付は複数見つかった場合にどれが最も新しく効力を発するかという事を特定するために必要なこととなるので、忘れずに入れておかなくてはなりません。また、最近は多くの文書をパソコンなどで作成しますが、この場合は手書きでないといけないという決まりがあるので注意しましょう。他にも、夫婦であっても二人分を一つの紙に書いてはいけないというルールがあります。こういった細かいルールをきちんと守り、有効な書面を作っていきましょう。花03

相続が発生すると、法定相続人は被相続人の財産の権利と義務を引き継ぐことになりますが、中には債務ばかり残していたような場合もあります。そこで、民法では、相続の効果を承認するか放棄するかを相続人が選べるようになっています。「相続放棄」は、全ての財産を相続しないというもので、相続がなかったことになります。相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述書を提出します。家庭裁判所が放棄の申述を受理すれば、相続人は始めから相続人でなかったと見なされます。そのため、代襲相続もありません。
これに対して、「相続分の放棄」は、相続人が単純相続した後に、プラス財産を取得しないことで、相続開始後、遺産分割手続きの終了までなら、いつでも可能です。相続分放棄者の相続分が、他の共同相続人に対して、その相続分に応じて帰属するとして取り扱われます。ただし、相続人であることは放棄していませんので、相続債務があれば負担を免れることはできません。また、個々の相続財産についても、相続分を放棄することができます。相続人間にトラブルがあって、遺産分割協議が長引く場合などに、個々の財産についての相続分を放棄がなされることがあります。花01

遺産分割協議というのは、相続人全員が集まって、遺産を誰にどの程度配分するかということについて話し合い、その内容が合意に至った場合には、後日の証拠として全員が署名・押印した協議書を作成するというものです。したがって、いったん合意したものを覆すというのは、法的安定性を損なう行為ですので、一般には協議のやり直しを行うことは適切とはいえません。
もしあえて行った場合には、ある相続人が協議結果にもとづきいったん有効に取得した財産を、別の相続人に譲渡または交換したのと同じとみなされて、贈与税などの税金が課税されてしまう可能性がありますので注意が必要となります。
もし前回協議後に新しい遺産が見つかったというのであれば、協議をやり直すのではなく、その遺産についてのみ、新たな協議を行って、協議書も作成するというのが一般的な方法です。
ただし、相続権のある人の一部が協議から外れていて、相続人全員が参加したことにならなかった場合は、その協議は無効となりますので、必ずやり直さなくてはならないということになります。この場合、前回協議から外れていた相続人を含めて再度実施された協議の結果こそが有効なものですので、税法上も修正申告などの対応となります。花02

遺産の相続は、遺言者がある場合を除いて、民法では故人が生きていたときに婚姻関係を解消した先妻やもともと婚姻関係を結んでいない愛人には相続の権利を認めていません。故人が亡くなった時点で婚姻関係を結んでいた妻だけが法定相続人として、財産を受け継ぐことができます。しかし、先妻や愛人との間にできた子どもは相続の権利をもつことができます。愛人の子は、父親に認知されていることが条件となります。血のつながりがあっても、認知がされていない場合は、法律上の親子関係がないとみなされて、相続の権利をもつことができません。また、先妻の子どもと妻の子どもは平等に遺産を分配できますが、婚姻関係のない男女の間に生まれた子供は、非摘出子となるため、嫡出子の2分の1しか財産をもらうことができない規定になっています。ちなみに配偶者の連れ子には、相続の権利はありません。そのため、連れ子に遺産を残すには、遺言書を作成するか、養子縁組を行う方法の2通りがあります。養子は、血のつながりに関係なく、実子と同等の権利をもち、財産の相続分の取り分も同じになります。そのため、血のつながりがあるのにもかかわらず、妻の子よりも半分しか遺産を相続できない非嫡出子を、認知ではなく養子縁組の形で親子関係を結ぶ人もいます。ひまわり

バラ03相続とは、故人が残した財産を家族や友人、知人が引き継ぐことをさします。民法では、遺言書がなければ、基本的には故人の血縁関係者が引き継ぐことになっており、その優先順位や財産分与の割合なども決まっています。まず、故人の配偶者と子供がいる場合は、配偶者が財産の半分を引き継ぎ、その残りを子供たちで平等に分配するのが基本です。配偶者は、籍を入れていない内縁関係の場合は、財産を受け継ぐことはできません。離婚をした場合は、たとえ何十年も連れ添った元夫婦であっても他人とみなされますので、財産を受け継ぐ権利はありません。逆に入籍して数日しかたっていない夫婦としての年月が浅い場合でも、配偶者は遺産を半分受け継ぐことができます。また、子供も故人の実子や法律上の親子になっている養子だけが受け継ぐことができますので、故人の再婚相手の連れ子には引き継ぐ権利は認められていません。故人が家族以外の親族や友人に残したい場合は、遺言書を作成すると財産を譲ることができます。残された家族に受け継がれる財産は、預貯金や不動産などの資産だけでなく借金などの負の財産も含まれています。そのため、残された家族には財産を受け継ぐことを放棄する権利も認められています。故人に配偶者や子供がいない場合は、その親や兄弟が引き継ぐことができます。

遺言と聞くと、遺産を巡る争いなどは、テレビや小説の世界であって自分とは無縁であると考えている人もいるかもしれません。しかし、実際には関係ないと思っていた人が巻き込まれてしまうことも多くあるのです。
貯蓄はそんなにしていないし大きな額の現金はないからと思っていたとしても、家や土地などの不動産があったり、車やアクセサリーなどの高価な物を持っている可能性もあるでしょう。それらの全ては自分が他界した後、どのようにするのかきちんと残している人は少ないでしょう。まだ、全ての親族がそれらを現金にして平等に分けようと考えていたら良いのですが、家やアクセサリーなど、その人に深く関わる遺産は平等に分配できないこともあるのです。この平等ではないと言う事態が遺産を巡る争いになっているのです。
例えば、自分がこの親族にこれを残したいと考えていたとしても、その考えを残しておかないと誰にも本当に考えていることは分かりません。
そのような相続に関する争いをおこさない為にも、遺言を残しておいた方が良いのです。遺言にも有効な文書であると残す為にも、いくつかの決まりもあります。しっかりと自分の考えを残す為にも、分からないことなどが出てきた場合は曖昧にしないで、法律に詳しい弁護士などに相談をした方が良いでしょう。バラ01

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